詩 「春のサクリファイス」
雪崩る感情は
春が来ても発見されず
永久凍土のなかで眠り続けるだろう
巻き込まれた、
春の芽吹き
それも不運というもの
きっと訪れぬ翠が相応しい
思う 思う
きみを思う
何処かのプラットホームで
最終電車を逃したきみの
薄いコートに包まれた胸を
ざまあみやがれと笑う
痛む 痛む
きみのうたに零れる、
鱗粉に触れては
おしまいは
いつか突然に訪れて
後悔すら追いつかないだろ?
薄墨桜の枝垂れる頃に
環状線は混乱し
ひとなだれの中で
失われたかたちが
わたしだったことを
きみは思い出すだろう
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